家計簿アプリの予算機能で管理する 新社会人の使いすぎ防止ガイド
はじめに:新社会人が直面するお金の課題
新生活が始まり、収入を得るようになった一方で、支出も学生時代と比較して増加することがあります。特に、自由になるお金が増えることで、計画的にお金を使わないと「気づいたらお金が足りない」という状況に陥ることがあります。何にいくら使っているのかが把握できず、漠然としたお金に対する不安を抱える方もいらっしゃるかもしれません。
なぜ使いすぎてしまうのか
お金を使いすぎてしまう主な原因の一つは、ご自身の支出を正確に把握できていないことにあります。また、支出の上限、すなわち「予算」を設定していないことも、無計画な支出に繋がりやすい要因です。収入に対して支出が多ければ、家計は赤字になります。衝動的な買い物や、想定外の出費が重なることで、予算管理が難しくなるケースも考えられます。
解決策としての家計簿アプリの予算機能
家計簿アプリには、日々の支出を記録する機能に加え、事前に設定した予算と実際の支出状況を比較して表示する機能が備わっているものが多く存在します。この「予算機能」を効果的に活用することで、お金の使いすぎを防ぎ、計画的な支出を支援することが可能です。
予算設定機能とは
予算設定機能では、ご自身の収入や将来的な貯蓄目標などを踏まえ、食費、交際費、趣味娯楽費といった様々な費目ごとに支出の上限額を設定できます。設定した予算に対して、日々の支出を記録していくことで、各費目の現時点での支出額や残り予算、さらには全体の支出状況などを視覚的に確認できるようになります。
なぜ予算設定が有効なのか
予算を設定することは、お金を使う際の判断基準を明確にすることに繋がります。「今月はこの費目にあといくら使えるか」「この支出は設定した予算内で収まるか」といった基準を持つことで、一つ一つの支出について考える機会が生まれ、無自覚な支出を抑制する効果が期待できます。
支出追跡機能との連携
多くの家計簿アプリは、銀行口座やクレジットカードとの連携機能を備えています。この機能を利用することで、支出データを自動的にアプリに取り込むことが可能になり、手入力の手間を大幅に削減できます。自動で取り込まれた正確な支出データが予算設定機能に反映されることで、現在の支出状況をリアルタイムかつ正確に把握でき、予算管理の精度を高めることができます。テクノロジーに親しみのある方であれば、この自動連携機能は特に有用なツールとなるでしょう。
具体的なアプリ活用ステップ
家計簿アプリの予算機能を活用して使いすぎを防ぐための具体的なステップを以下に示します。
1. アプリの選定
予算設定機能が充実しており、ご自身が利用している銀行やクレジットカードとの連携がスムーズに行えるアプリを選定します。また、インターフェースが分かりやすく、支出状況をグラフなどで視覚的に捉えやすいデザインであるかどうかも、継続して利用する上で重要な要素となります。無料版で機能を試したり、口コミなどを参考にしたりするのも良いでしょう。
2. 初期設定と目標設定
アプリをインストールしたら、まずはご自身の基本情報や主な収入源などを登録します。次に、家計管理を行う上での目標を設定します。例えば、「毎月〇円を貯蓄に回す」「将来の〇〇に向けて〇円を貯める」といった具体的な目標は、予算管理を続ける上でのモチベーション維持に繋がります。
3. 収入と固定費・変動費の把握
ご自身の月々の手取り収入を正確に把握します。次に、家賃、水道光熱費、通信費、保険料などの毎月決まった金額が発生する「固定費」を確認します。これらの固定費を収入から差し引いた金額が、食費、交際費、日用品費、被服費といった金額が月によって変動する「変動費」に充てられる金額の目安となります。もし過去の支出データが手元にあれば、これを参考に各費目の平均的な支出額を把握することで、より現実的な予算を設定する助けになります。
4. 予算設定の実践
ステップ3で把握した収入と支出の内訳を基に、各費目の予算を設定します。初めは、過去の支出実績やご自身の感覚に基づいて、少し余裕を持たせた金額で設定することをお勧めします。数ヶ月間運用してみて、現実的ではないと感じる場合は、予算額を調整していきます。無理な予算設定は、かえって家計管理の継続を困難にする可能性があります。
5. 日々の記録と支出追跡
銀行口座やクレジットカードとの連携機能を設定し、支出の自動取り込みを行います。現金で支払った支出については、その都度アプリに手入力で記録します。多くのアプリには、レシートをカメラで読み取って自動でデータ化する機能や、音声入力機能など、入力を簡便にする機能が搭載されていますので、活用すると手間を減らすことができます。日々の支出が記録されることで、設定した予算に対して現在どのくらいのお金を使っているかがリアルタイムに可視化されます。
6. 定期的な振り返り
週に一度や月に一度など、定期的に家計簿アプリを開き、支出状況を振り返る時間を持つことが重要です。各費目の支出が予算内に収まっているか、特定の費目で予算を大幅に超えていないかなどを確認します。もし予算をオーバーしている費目があれば、その原因(例えば、外食が多かった、衝動買いをしたなど)を分析し、翌月以降の予算設定や日々の支出行動に活かしていきます。この振り返りのプロセスを通じて、ご自身の支出の傾向や改善点に気づくことができます。
予算オーバーを防ぐためのヒント
予算設定と追跡に加え、さらに使いすぎを防ぐための追加的なヒントをいくつかご紹介します。
通知機能の活用
多くの家計簿アプリには、特定の費目の支出が予算の〇%に達した際や、全体の支出が一定額を超えた際などに、プッシュ通知やメールで知らせてくれる機能が備わっています。これらの通知機能を有効にしておくことで、予算を意識しながらお金を使うことができ、使いすぎそうになった際に早期に気づくきっかけになります。
予備費の設定
予期せぬ出費に備え、「予備費」や「その他」といったカテゴリを設けて、少額でも予算を設定しておくことを検討します。急な冠婚葬祭や家電の故障など、突発的な出費があった場合でも、他の必須費目の予算を削ることなく対応できるため、心の余裕にも繋がります。
小さな成功体験を積み重ねる
設定した予算内で1ヶ月間を過ごせた、特定の費目の支出を目標額以下に抑えることができた、といった小さな成功体験を積み重ねることは、家計管理を継続する上で非常に重要です。達成感を味わうことで、家計管理が単なる義務ではなく、ご自身のお金をコントロールできているという自信に繋がり、モチベーションを維持しやすくなります。
まとめ
家計簿アプリの予算設定機能と支出追跡機能を活用することは、新社会人の方がご自身のお金を管理し、計画的にお金を使う習慣を身につけるための有効な手段となります。収入と支出を正確に把握し、無理のない予算を設定し、日々の支出を追跡し、定期的に振り返るという一連のプロセスを通じて、お金の流れが「見える化」され、ご自身の手でコントロールできるようになります。これは、将来的な貯蓄や資産形成に向けた、堅実な第一歩となるでしょう。ご自身のライフスタイルや好みに合った家計簿アプリを見つけ、予算管理を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。